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系統・接続

系統空容量マップの見方 — 全国10エリアの公表ページと、机上で確認すべきポイント

一般送配電事業者が公表する系統の空き容量(空容量マップ・予想潮流)の探し方と読み方を解説。全国10エリアの公式ページ、運用容量・予想潮流・空容量の関係、ノンファーム型接続以降の「空容量0」の意味、系統用蓄電池で充電側も確認すべき理由まで。

最終更新 ・ 公開 ・ 執筆 Japan ELC 編集部(Life ID株式会社) ・ 約6分

この記事の要点

  • 系統の空き容量は、各エリアの一般送配電事業者が公表しています。電力広域的運営推進機関(広域機関)のリンク集から10社の公表ページに入れます。
  • 公表値は送電線・変圧器などの設備ごとに示されます。候補地に近い変電所だけでなく、上位の送電線・変圧器のどれが制約になるかまで確認します。
  • 2023年4月1日以降に接続検討を受け付けた案件は、原則としてノンファーム型接続です。「空容量0」でも接続できる場合がありますが、混雑時の出力制御が前提になります。
  • 系統用蓄電池は、放電(逆潮流)側に加えて充電(順潮流)側の余裕も必要です。
  • 公表値は机上の目安です。接続の可否、工事費負担金、工期は接続検討の回答で確定します。

系統空容量マップとは、送電線や変電所の変圧器に「あとどれだけ電気を流す余裕があるか」を、各エリアの一般送配電事業者が設備ごとに公表したものです。太陽光発電所や系統用蓄電池(蓄電所)の候補地を探すとき、最初に確認する一次情報になります。

この記事では、全国10エリアの公表ページの探し方、数字の読み方、机上スクリーニングで使うときの注意点を順に整理します。

空容量マップはどこで見られるか

資源エネルギー庁の「なるほど!グリッド」は、一般送配電事業者と配電事業者の空き容量情報への入口として、広域機関のリンク集を案内しています。広域機関の「一般送配電事業者の出力制御見通しマッピング情報リンク集」から、10社それぞれの公表ページに移動できます。

各社の公表は、地図(マッピング)形式のほか、PDFやCSVの一覧表で行われていることが多く、名称も「空容量マッピング」「系統の予想潮流等に関する情報」「系統連系制約」などさまざまです。

エリア 一般送配電事業者 公表ページ
北海道 北海道電力ネットワーク 系統情報の公表について
東北 東北電力ネットワーク 系統の予想潮流等に関する情報
東京 東京電力パワーグリッド 当社における系統情報について
中部 中部電力パワーグリッド 系統空容量マッピング(Web地図版)
北陸 北陸電力送配電 予想潮流等の情報公開
関西 関西電力送配電 流通設備建設計画・系統連系制約等
中国 中国電力ネットワーク 系統アクセス情報の公開
四国 四国電力送配電 系統アクセスに関するデータ集
九州 九州電力送配電 系統情報の公開
沖縄 沖縄電力 系統連系制約および流通設備計画について

2026年9月時点で、上記のページはいずれも公開されています。ページ名やURLは各社の更新で変わることがあります。なお東京電力パワーグリッドは、「系統の空き容量等に関する情報」を「系統の予想潮流等に関する情報」に統合して公表しています。

公表値の読み方

設備ごとの数字の関係

一覧表では、送電線や変圧器ごとに次のような項目が並びます。項目名や算定方法は会社によって異なるため、各社の「留意事項」もあわせて確認してください。

項目 意味 確認のポイント
設備容量 設備そのものの容量 N-1の考え方などにより、運用容量は設備容量より小さく設定されることが多い
運用容量 設備を安定して運用できる上限。熱容量、同期安定性、電圧安定性などで決まる 制約要因が熱容量以外(安定度など)の場合、設備を太くするだけでは解消しないことがある
予想潮流 接続済み・接続予定の電源や需要を織り込んだ、想定上の最大の潮流 公表時点より後の申込みは反映されていない
空容量 運用容量に対して残っている余裕 0でも、ノンファーム型接続の対象として接続できる場合がある

N-1と「N-1電制」

N-1とは、送電線1回線や変圧器1台が故障しても供給を続けられるように設備を運用する考え方です。2回線の送電線では、1回線が止まっても残りで送れる量が運用容量の目安になります。

公表資料には「N-1電制」の適用可否が書かれていることがあります。N-1電制は、故障時に電源を瞬時に制限することを前提に、平常時に使える容量を増やす仕組みです。適用される場合、故障時に自社の電源が制限対象になり得ることを前提に事業計画を立てます。

上位系統まで見る

候補地の電源は、近くの変電所(高圧なら配電用変電所)に接続され、そこからローカル系統、基幹系統へと上位の設備を通って流れます。広域機関の整理では、基幹系統は原則として上位2電圧(沖縄は132kV)の送変電設備です。

候補地のすぐ近くの変電所に空きがあっても、上位の送電線や変圧器が制約になっていれば混雑の影響を受けます。公表資料の系統構成図などで、接続先から上位までの経路をたどって確認するのが基本です。

「空容量0」は接続できないという意味か

必ずしもそうではありません。ノンファーム型接続は、2021年1月13日から空き容量のない基幹系統に、2023年4月1日から受け付けた接続検討ではローカル系統にも適用されています。広域機関によると、2023年4月1日以降に接続検討を受け付けた案件は、接続先の電圧階級や空き容量の有無にかかわらず、原則としてノンファーム型接続の対象です(10kW未満の低圧を除く)。

ノンファーム型接続では、系統が混雑したときに出力が制御されることを前提に、設備の増強を待たずに接続できます。そのため「空容量0」は、接続そのものの可否よりも、混雑時にどの程度出力が抑えられるかという事業性の問題として読むのが実態に近いといえます。

ただし、配電系統の設備(配電用変圧器を含む)の容量が不足する場合は、その設備の増強工事が必要です。詳しくはノンファーム型接続とはで解説しています。

系統用蓄電池は充電側も確認する

蓄電池は、放電するときは系統へ電気を送り(逆潮流)、充電するときは系統から電気を受け取ります(順潮流)。一般的な空容量マップは主に逆潮流(発電)側の余裕を示すもので、充電側の余裕は別に確認が必要です。

資源エネルギー庁の資料(2025年11月14日)では、大規模需要向けに送電線や変圧器の順潮流側の空き容量を公表している「ウェルカムゾーンマップ」を、系統用蓄電池の充電側の評価にも使えると整理しています。充電側は、現状では原則として系統容量の確保が必要で、2025年4月からは充電制限を前提に早期に接続する「早期連系追加対策」も始まっています。詳しくは系統用蓄電池の接続ルールをご覧ください。

机上で使うときの注意点

  • 公表日を必ず確認する:空容量は申込みの状況や系統の変化で変わります。更新頻度は会社や資料によって異なります。
  • 公表値は保証ではない:接続の可否、工事費負担金、工期は、接続検討の回答で初めて確定します。接続検討の回答期間は、受付から原則3か月以内(逆変換装置を使う500kW未満の案件は2か月以内)です。
  • 設備名で照合する手間がかかる:一覧表は設備名で書かれていることが多く、地図上の位置と対応づける作業が必要です。表記ゆれや同名の設備にも注意します。
  • 用地側の条件は別資料:空容量があっても、農地、都市計画、森林、災害リスク、地形で候補地が落ちることは少なくありません。空容量マップだけでは足りない理由で詳しく説明しています。

Japan ELCでの確認方法

Japan ELCは、10エリアの公表資料(PDF・CSV)から変電所・送電線の公表値を取り込み、設備名と電圧で地図上の設備に対応づけて表示します。

  1. 「変電所」「送電線」レイヤーを表示し、候補地周辺の設備と電圧を確認します。送電線は66kV以上・154kV以上・275kV以上で絞り込めます。
  2. 変電所をクリックすると、公表されている空容量と、出典(電力会社の公表資料)・日付を確認できます。
  3. 「周辺候補」で、容量・面積・距離の条件から一次候補を並べます。
  4. 農地、都市計画(用途地域・区域区分)、ハザードのレイヤーを重ね、用地側で落ちる候補を除外します。

表示している値は取り込んだ公表資料の値です。最新の値は各社の公表ページで確認してください。設備の位置には、公開情報から推定したものが含まれます。

よくある質問

系統空容量マップはどこで見られますか?

各エリアの一般送配電事業者のWebサイトで公表されています。電力広域的運営推進機関の「一般送配電事業者の出力制御見通しマッピング情報リンク集」から、10社の公表ページに移動できます。

空容量が0の変電所には接続できませんか?

必ずしも接続できないわけではありません。2023年4月1日以降に接続検討を受け付けた案件は原則としてノンファーム型接続となり、混雑時の出力制御を前提に接続できる場合があります。ただし配電系統の設備(配電用変圧器を含む)の容量が不足する場合は増強工事が必要で、接続の可否や条件は接続検討の回答で確定します。

系統用蓄電池の候補地では、どの空容量を見ればよいですか?

放電(逆潮流)側の空容量に加えて、充電(順潮流)側の余裕を確認します。順潮流側は、大規模需要向けに公表されている「ウェルカムゾーンマップ」などが参考になります。

空容量マップの数字だけで接続できるか判断できますか?

できません。公表値は検討の目安で、公表後の申込みや前提条件の違いによって変わります。接続の可否、工事費負担金、工期は、一般送配電事業者の接続検討の回答で確認します。

出典・参考資料