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系統・接続

ノンファーム型接続とは — 仕組み、適用範囲、出力制御との関係

ノンファーム型接続は、系統が混雑したときの出力制御を前提に、設備増強を待たずに発電所などを接続する仕組みです。基幹系統(2021年1月)からローカル系統(2023年4月)への拡大、再給電方式による混雑管理、配電系統では増強が必要な点、系統用蓄電池の充電側の扱いまでを公的資料で解説。

最終更新 ・ 公開 ・ 執筆 Japan ELC 編集部(Life ID株式会社) ・ 約5分

この記事の要点

  • ノンファーム型接続は、系統が混雑したときに出力を制御されることを前提に、既存の送電網の空きを活用して接続する方式です。
  • 2021年1月13日から空き容量のない基幹系統に、2023年4月1日以降に受け付けた接続検討からはローカル系統にも適用されています。
  • 2023年4月1日以降の接続検討の案件は、空き容量の有無にかかわらず原則ノンファーム電源になります(10kW未満の低圧を除く)。
  • 配電系統の設備(配電用変圧器を含む)の容量が足りない場合は、ノンファームでも増強工事が必要です。
  • 系統用蓄電池の充電(順潮流)側には、まだノンファーム型接続はありません。導入には5〜7年を要すると見込まれています。

ノンファーム型接続とは、送電線や変圧器が混雑したときには出力を制御されることを前提に、設備の増強を待たずに新しい電源を系統につなぐ方式です。系統に空きがある時間帯は通常どおり発電でき、混雑するときだけ出力が抑えられます。

従来の「ファーム型」は、接続する電源の最大出力分の容量をあらかじめ確保する方式で、空き容量が足りなければ増強工事が終わるまで接続できませんでした。ノンファーム型接続は、この増強待ちを避け、既存の系統をより有効に使うために導入されました。

ファーム型との違い

ファーム型(従来) ノンファーム型
容量の確保 最大出力分の空き容量を確保する 確保しない(既存の空きを活用)
空き容量がない場合 増強工事の完了まで接続できない 混雑時の出力制御を前提に接続できる
混雑時の扱い 原則として制御されない 出力制御の対象になる
事業上の論点 増強の工事費負担金と工期 出力制御による発電量の減少

適用範囲の広がり

電力広域的運営推進機関(広域機関)の資料をもとに、主な節目を整理します。

時期 内容
2021年1月13日 空き容量のない基幹系統への接続に、ノンファーム型接続の適用を開始
2022年4月1日 この日以降に接続検討を受け付けた、基幹系統の電圧階級で受電する電源は、空き容量があってもノンファーム型接続の扱い
2022年12月21日 基幹系統の混雑を、調整電源を活用して解消する再給電方式を導入
2023年4月1日 この日以降に接続検討を受け付けた案件は、接続先の電圧階級や空き容量の有無にかかわらず、原則ノンファーム型接続(ローカル系統への適用)
2023年12月28日 調整電源以外の電源も含め、一定の順序で出力を制御して基幹系統の混雑を解消する方式を導入

広域機関の整理では、基幹系統は原則として上位2電圧(沖縄は132kV)の送変電設備、ローカル系統はその下位の送変電設備を指します。

混雑時に何が起きるか

混雑とは、送電線や変圧器などの設備を流れる電気(潮流)が、運用容量を超える、または超えるおそれがある状態です。混雑が見込まれると、一般送配電事業者は定められたルールに従って電源の出力を制御します。

注意したいのは、接続先の設備が混雑していなくても、上位の設備の混雑に影響する場合には出力制御の対象になり得ることです。また、接続した時点では混雑がなくても、その後に電源が増えるなどして新たな混雑が生じれば、出力制御が必要になる可能性があります。

なお、ここで扱う混雑による制御(系統制約)とは別に、エリア全体で電気が余るときに行われる「再エネの出力制御」(需給バランス制約)もあります。どちらも発電量を減らす要因なので、事業計画ではあわせて見込みます。

ノンファームでも増強が必要な場合

広域機関は、配電系統の送配電設備(配電用変圧器を含む)の空き容量が不足する場合、その設備の増強工事が必要になると明記しています。高圧で連系する案件では、配電用変電所の容量が実質的な制約になることがあるため、ノンファームだからといって工事が不要とは限りません。

また、他の事業者が整備したアクセス線に連系する場合などは、新たに建設する送電線に加えて、既設系統までのアクセス線の増強が必要になることがあります。

事業性の見方:「接続できるか」から「どれだけ抑えられるか」へ

ノンファーム型接続の拡大により、空き容量が0の地域でも接続そのものは可能な場合が増えました。その一方で、評価の軸は「どれだけ出力が制御されるか」に移っています。

  • 候補地の上位系統で混雑がどの程度見込まれるか
  • 各社が公表する混雑の見通しや出力制御の見通し(例:東京電力パワーグリッドは2031年度の系統混雑の中長期見通しを公表)
  • 系統用蓄電池の場合、混雑時間帯を避けて充放電できるか

空容量マップの数字は、こうした評価の出発点として使います(系統空容量マップの見方)。

系統用蓄電池の充電側はどうなるか

ノンファーム型接続は、これまで発電(逆潮流)側の仕組みです。系統用蓄電池の充電(順潮流)側については、資源エネルギー庁の資料(2026年2月9日)で、混雑時の制御を前提に容量を確保せずに接続する「順潮流側のノンファーム型接続」の導入を目指す方針が示されています。ただし、発電側の仕組みを参考にした計画値制御の導入には5〜7年を要する見込みとされています。

それまでの間は、充電側は原則として系統容量の確保が必要です。2025年4月からは、充電制限を受け入れることで増強を待たずに接続できる「早期連系追加対策」が導入されています。詳しくは系統用蓄電池の接続ルールで解説しています。

Japan ELCでの確認方法

Japan ELCでは、変電所・送電線の公表空容量を地図上で確認し、候補地の接続先となりそうな設備と電圧、上位の送電線をたどって見ることができます。空容量0の設備も非表示にせずに表示するため、ノンファーム型接続を前提とした候補地探しにも使えます。出力制御の程度そのものは表示していないため、各社の混雑見通しや出力制御の見通しとあわせて判断してください。

よくある質問

ノンファーム型接続とは何ですか?

系統が混雑したときに出力を制御されることを前提に、設備の増強を待たずに発電所などを系統に接続する方式です。系統に空きがあるときは通常どおり発電でき、混雑時だけ出力が抑えられます。

ノンファーム型接続はいつから、どの系統に適用されていますか?

2021年1月13日から空き容量のない基幹系統に適用が始まり、2023年4月1日以降に受け付けた接続検討からはローカル系統にも適用されています。2023年4月1日以降の案件は、接続先の電圧階級や空き容量の有無にかかわらず原則としてノンファーム型接続です(10kW未満の低圧を除く)。

ノンファーム型接続なら増強工事は不要ですか?

不要とは限りません。配電系統の設備(配電用変圧器を含む)の空き容量が不足する場合は、その設備の増強工事が必要です。アクセス線の新設や増強が必要になる場合もあります。

系統用蓄電池の充電もノンファーム型接続できますか?

2026年9月時点では、充電(順潮流)側のノンファーム型接続はまだ導入されていません。資源エネルギー庁は導入を目指していますが、計画値制御の導入には5〜7年を要する見込みです。当面は、系統容量の確保か、充電制限を前提とした早期連系追加対策を検討します。

出典・参考資料