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土地・規制

青地・白地と農振除外 — 農地転用の区分(甲種〜第3種)と、太陽光・蓄電所の用地の見方

農用地区域内農地(青地)と白地の違い、農振除外の6つの要件、農地転用許可の立地基準(甲種・第1種・第2種・第3種農地)を農林水産省の資料に基づいて解説。太陽光発電所や系統用蓄電池の候補地を、農地の区分で机上スクリーニングする手順も紹介します。

最終更新 ・ 公開 ・ 執筆 Japan ELC 編集部(Life ID株式会社) ・ 約6分

この記事の要点

  • 農業振興地域のうち、農用地区域内の農地が「青地」、それ以外の農地が「白地」と呼ばれます。
  • 青地は、農用地利用計画で指定された用途(農業用施設など)以外には転用できません。発電所や蓄電所に使うには、まず農振除外(農用地利用計画の変更)が必要です。
  • 農振除外には「農用地区域以外に代替すべき土地がないこと」など6つの要件をすべて満たす必要があり、手続きに時間がかかります。
  • 白地でも農地法の転用許可は必要です。甲種・第1種農地は原則不許可、第2種は第3種農地に立地困難な場合などに許可、第3種は原則許可です。
  • 机上では、地目・農振区分・農地区分を重ねて「青地や甲種・第1種を避け、白地の第2種・第3種を優先する」のが基本です。

太陽光発電所や系統用蓄電池の候補地に農地が含まれる場合、最初に確認するのが「青地か白地か」と「農地転用の区分」です。ここを見落とすと、系統の条件が良くても事業ができない、あるいは許可までに年単位の時間がかかる、ということが起こります。

この記事では、農業振興地域制度(農振法)と農地転用許可制度(農地法)の仕組みを、農林水産省の資料に基づいて整理します。

青地と白地の違い

市町村は、農業振興地域整備計画の中で「農用地利用計画」を定め、農用地等として利用すべき土地の区域(農用地区域)を指定します。

  • 青地(農用地区域内農地):農用地区域に含まれる農地。農業上の利用を確保するため、転用が厳しく制限されます。
  • 白地(農用地区域外の農地):農業振興地域の中でも、農用地区域に含まれない農地。農振法上の開発規制はありませんが、農地法の転用許可は必要です。
  • 農振地域外の農地:農業振興地域の外にある農地。ここでも農地法の転用許可(市街化区域内では届出)が必要です。

「青地」「白地」は、計画図で農用地区域が青く示されることに由来する通称で、法令上の用語ではありません。

青地は転用できない:農振除外が必要

農林水産省によると、農用地区域内の農地の転用は、農用地利用計画で指定された用途(農業用施設など)に供する場合以外は認められません。発電所や蓄電所に使うには、まず農用地利用計画を変更して農用地区域から除外(農振除外)し、そのうえで農地法の転用許可を得る必要があります。

農振除外は、次の要件をすべて満たす場合に限られます。

  1. 農用地区域以外に代替すべき土地がないこと
  2. 地域計画の達成に支障を及ぼすおそれがないこと
  3. 除外により、土地の農業上の効率的かつ総合的な利用に支障を及ぼすおそれがないこと
  4. 効率的かつ安定的な農業経営を営む者に対する農地の利用の集積に支障を及ぼすおそれがないこと
  5. 除外により、農用地区域内の土地改良施設の機能に支障を及ぼすおそれがないこと
  6. 農業基盤整備事業の完了後8年を経過していること

除外には市町村による計画変更の手続き(都道府県知事への協議・同意、計画案の公告と約30日間の縦覧、15日間の異議申出期間)が必要で、受付時期を年に数回に限っている市町村もあります。「代替地がないこと」を説明する必要があるため、発電所や蓄電所のように立地の選択肢が比較的広い用途では、除外のハードルは高いと考えておくのが現実的です。

農地転用許可の区分(立地基準)

白地の農地や農振地域外の農地を転用する場合は、農地法第4条(自己の農地を転用する場合)または第5条(転用のために権利を設定・移転する場合)の許可が必要です。許可できるかどうかは、農地の区分ごとの「立地基準」で判断されます。

農地の区分 主な内容 許可の方針
農用地区域内農地(青地) 農用地利用計画で農用地区域とされた区域内の農地 原則不許可(指定用途に供する場合などは例外)
甲種農地 市街化調整区域内で、農業公共投資後8年以内の農地や、高性能な農業機械で営農できる集団農地など 原則不許可
第1種農地 10ha以上の集団農地、農業公共投資の対象農地、生産力の高い農地 原則不許可
第2種農地 農業公共投資の対象外の小集団の生産力の低い農地、市街地として発展する可能性のある区域の農地 第3種農地に立地困難な場合などに許可
第3種農地 都市的整備がされた区域の農地、市街地にある農地 原則許可

甲種・第1種農地にも、地域の農業振興に関する地方公共団体の計画に基づく施設など、限られた例外があります。

立地基準に加えて「一般基準」も満たす必要があります。転用の確実性(資金計画、他法令の許認可の見込み、関係権利者の同意など)、周辺農地への被害防除措置が適切か、一時転用の場合に原状回復が確実か、といった点です。

許可権者と手続き

許可権者は都道府県知事、または農林水産大臣が指定する市町村(指定市町村)の長です。4haを超える転用では農林水産大臣との協議が必要です。市街化区域内の農地は、農業委員会への届出で転用できます。

太陽光・蓄電所の候補地での見方

状況 見込み 机上での扱い
青地 農振除外が必要。代替地がないことの説明が求められる 原則として候補から外す。営農型太陽光を除く
白地 × 甲種・第1種 転用は原則不許可 原則として候補から外す
白地 × 第2種 周辺に第3種農地などの代替地がなければ許可の可能性 周辺の代替地の有無を確認
白地 × 第3種 原則許可 優先候補。ほかの規制も確認
市街化区域内の農地 届出で転用可能 用途地域などの制限を確認
地目が農地だが現況は非農地 非農地証明などで扱いが変わる場合がある 農業委員会に確認

太陽光発電では、農地を転用せずに支柱を立てて営農を続ける「営農型太陽光発電」という方法もあります。青地でも一時転用許可の対象になり得ますが、営農の継続が厳しく審査されます(営農型太陽光発電の許可基準)。

系統用蓄電池は農業用施設ではないため、青地や甲種・第1種農地での設置は極めて難しいのが一般的です。白地の第2種・第3種農地や、農地以外の土地(雑種地、宅地、工業用地など)から探すのが基本になります(系統用蓄電池の用地選定ガイド)。

机上スクリーニングの手順

  1. 地目を確認する:登記地目が田・畑かどうか。現況と異なる場合もあります。
  2. 農振区分を確認する:青地(農用地区域内)、白地、農振地域外のどれか。
  3. 農地区分を確認する:甲種・第1種・第2種・第3種のどれか。最終的な判断は農業委員会が行います。
  4. 都市計画を確認する:市街化区域か市街化調整区域か。市街化区域内なら届出で足ります(用途地域・市街化調整区域の確認方法)。
  5. 周辺の代替地を見る:第2種農地では、近くの第3種農地や農地以外の土地で代替できないかが問われます。
  6. 農業委員会に事前相談する:机上で残った候補について、区分と見込みを確認します。

Japan ELCでの確認方法

Japan ELCの「農地」レイヤーでは、農林水産省「eMAFF農地ナビ」「筆ポリゴン」を加工したデータで、区画ごとの地目、農振区分(青地・白地・農振地域外など)、面積を表示します。農振区分での絞り込みに加え、転用区分(白地×甲種・第1種・第2種・第3種、要確認)でも絞り込めます。遊休農地かどうかや、所有者等の意向が登録されている区画もあります。

同じ地図に用途地域・区域区分(市街化区域・市街化調整区域)と、変電所の公表空容量を重ねられるため、「白地の第2種・第3種で、市街化調整区域の制約が少なく、変電所に近い」区画から順に確認できます。区画は登録上の境界で、転用済みの施設など現況と異なる場合があるため、最終的な区分は農業委員会で確認してください。

よくある質問

青地と白地の違いは何ですか?

青地は農業振興地域の農用地区域内の農地で、農用地利用計画で指定された用途以外には転用できません。白地は農業振興地域のうち農用地区域外の農地で、農振法の開発規制はありませんが、農地法の転用許可が必要です。

青地に太陽光発電所や蓄電所を建てられますか?

そのままでは建てられません。農振除外(農用地利用計画の変更)で農用地区域から外したうえで、農地法の転用許可を得る必要があります。農振除外には代替地がないことなど6つの要件をすべて満たす必要があります。太陽光の場合は、営農を続ける営農型太陽光発電として一時転用許可を受ける方法もあります。

農振除外の要件は何ですか?

農林水産省の整理では、①農用地区域以外に代替すべき土地がないこと、②地域計画の達成に支障がないこと、③農業上の効率的かつ総合的な利用に支障がないこと、④担い手への農地の利用集積に支障がないこと、⑤土地改良施設の機能に支障がないこと、⑥農業基盤整備事業の完了後8年を経過していること、のすべてを満たす必要があります。

第2種農地と第3種農地の違いは何ですか?

第3種農地は、都市的整備がされた区域や市街地にある農地で、転用は原則許可されます。第2種農地は、市街地として発展する可能性のある区域の農地などで、第3種農地など周辺の土地に立地することが困難な場合などに許可されます。

出典・参考資料