土地・規制
営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)の許可基準 — 2024年4月からの制度、一時転用期間、単収の基準
営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)は、農地に支柱を立てて営農を続けながら発電する方式です。2024年4月1日に農地法施行規則とガイドラインで明確化された許可基準、一時転用期間(通常3年・条件により10年)、単収2割減の基準、毎年の報告義務を農林水産省の資料で解説します。
この記事の要点
- 営農型太陽光発電は、農地に簡易で撤去しやすい支柱を立て、その上部に太陽光パネルを設置して、下の農地で営農を続けながら発電する事業です。支柱部分に農地の一時転用許可が必要です。
- 2024年4月1日から、一時転用の許可基準が農地法施行規則に定められ、農林水産省のガイドラインが施行されました。
- 一時転用の期間は通常3年以内です。担い手が営農する場合、遊休農地を活用する場合、第2種・第3種農地を活用する場合は10年以内です。
- 下部の農地では、地域の平均的な単収と比べておおむね2割以上減収しないことなどが求められ、毎年、栽培実績と収支の報告が必要です。
- 発電設備の設置者と営農者が異なり、地上権等を設定する場合は、農地法第3条第1項の許可も必要です。
営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)とは、農地に支柱を立て、その上部の空間に太陽光発電設備を設置して、下の農地で農業を続けながら発電する方式です。農地全体を転用する通常の太陽光発電所と異なり、農地を農地のまま使い続けることが前提になります。
農林水産省は2013年(平成25年)から通知で運用してきましたが、発電を重視して営農がおろそかになる事例が見られたことから、2024年4月1日に許可基準を農地法施行規則に定め、ガイドラインを施行しました。この記事では、現行の制度を整理します。
営農型太陽光発電の定義と必要な許可
農林水産省は、営農型太陽光発電を「一時転用許可を受け、農地に簡易な構造でかつ容易に撤去できる支柱を立てて、上部空間に太陽光を電気に変換する設備を設置し、営農を継続しながら発電を行う事業」と定義しています。
| 許可 | 必要になる場合 |
|---|---|
| 農地の一時転用許可(農地法) | 支柱を立てる部分について必要 |
| 農地法第3条第1項の許可 | 発電設備の設置者と営農者が異なり、民法第269条の2第1項の地上権等を設定する場合 |
2024年4月1日より前に一時転用許可を受けて事業を行っているものは、その許可期間が満了するまで、旧制度(旧通知)が適用されます。
一時転用の期間
| 条件 | 一時転用の期間 |
|---|---|
| 認定農業者などの担い手が、下部の農地で営農を行う場合 | 10年以内 |
| 遊休農地を活用する場合 | 10年以内 |
| 第2種農地または第3種農地を活用する場合 | 10年以内 |
| 上記以外 | 通常3年以内 |
期間満了後は再許可を受けることができます。再許可では、それまでの期間の営農状況が十分に考慮されます。自然災害や営農者の病気などやむを得ない事情で営農状況が適切でなかった場合は、その事情も考慮されます。当初の許可時に遊休農地だった農地でも、再許可の時点では遊休農地として扱われない点に注意が必要です。
許可にあたって確認される主な点
農林水産省の資料では、一時転用許可にあたり次のような点が確認されます。
- 下部の農地で営農が適切に継続されることが確実か
- 生産された農作物の品質に著しい劣化が生じていないこと
- 地域の平均的な単収と比較して、おおむね2割以上減収しないこと(市町村で栽培されていない作物や、生産に時間がかかる作物の場合は、試験栽培の実績または栽培理由書に記載した単収より減少しないこと)
- 遊休農地を活用する場合は、農地が適正かつ効率的に利用されていること
- 毎年の栽培実績と収支の報告が適切に行われるか
- 農作物の生育に適した日照量を保つ設計か
- 効率的な農業機械の利用が可能な高さか(最低地上高2m以上)
- 地域計画の区域内の農地の利用集積などに支障がないとして、協議の場で合意が得られているか
許可後も、年に1回の報告で農作物の生産に支障が出ていないかが確認されます。営農に支障が生じている場合は、現地調査と改善の指導が行われ、従わない場合は是正勧告や原状回復命令などの措置がとられます。
通常の野立て太陽光との比較
| 項目 | 営農型太陽光発電 | 農地転用による野立て太陽光 |
|---|---|---|
| 農地の扱い | 農地のまま。支柱部分のみ一時転用 | 農地全体を転用 |
| 許可の期間 | 3年または10年ごとに再許可 | 恒久的な転用 |
| 青地・第1種農地 | 一時転用として検討の余地がある | 原則として転用できない |
| 主な事業リスク | 営農の継続(単収・品質・報告) | 転用許可の見込み、周辺農地への影響 |
| 必要な体制 | 発電事業者と営農者の長期的な協力 | 発電事業者単独でも可能 |
営農型は、転用が難しい農地でも検討できる選択肢ですが、営農が続かなければ事業そのものが続けられません。営農者の確保と作物の選定が、系統の条件と同じくらい重要になります。
候補地の机上確認
- 系統:近くの変電所の空容量と電圧を確認します(系統空容量マップの見方)。
- 農地の区分:第2種・第3種農地なら10年以内の一時転用が可能です。青地や第1種農地は3年以内が基本です(担い手・遊休農地の条件を除く)。
- 遊休農地かどうか:遊休農地を活用する場合は10年以内の期間が認められます。
- 営農者:地域の担い手(認定農業者など)が下部で営農できるか。
- 地域計画:農地の利用集積の計画との関係を市町村・農業委員会に確認します。
Japan ELCでの確認方法
Japan ELCの「農地」レイヤーでは、区画ごとの地目、農振区分(青地・白地など)、面積に加え、登録されている場合は遊休農地かどうかと所有者等の意向を確認できます。農地区分(甲種〜第3種)での絞り込みもできるため、「第2種・第3種または遊休農地で、変電所に近い区画」を地図上で探し、候補として保存・比較できます。最終的な区分と許可の見込みは、農業委員会で確認してください。
よくある質問
営農型太陽光発電とは何ですか?
農地に簡易で撤去しやすい支柱を立て、その上部に太陽光発電設備を設置して、下の農地で営農を続けながら発電する事業です。支柱部分について農地の一時転用許可が必要です。
営農型太陽光発電の一時転用許可の期間は何年ですか?
通常は3年以内です。認定農業者などの担い手が下部の農地で営農を行う場合、遊休農地を活用する場合、第2種農地または第3種農地を活用する場合は10年以内です。期間満了後は、それまでの営農状況をふまえて再許可を受けられます。
2024年4月から何が変わりましたか?
それまで通知で定めていた一時転用の許可基準などが農地法施行規則に定められ、具体的な考え方を示すガイドラインが2024年4月1日に施行されました。それより前に許可を受けた事業には、許可期間が満了するまで旧制度が適用されます。
収穫量が減った場合はどうなりますか?
下部の農地では、地域の平均的な単収と比べておおむね2割以上減収しないことなどが求められます。毎年の報告で営農に支障が生じていると判断されると、現地調査と改善の指導が行われ、従わない場合は是正勧告や原状回復命令などの措置がとられます。
出典・参考資料
- 農林水産省「再生可能エネルギー発電設備を設置するための農地転用許可」(営農型発電設備について)
- 農林水産省「営農型太陽光発電設備について【令和6年4月改訂版】」
- 農林水産省「営農型太陽光発電に係る農地転用許可制度上の取扱いに関するガイドライン」(2024年4月1日施行)
- 農林水産省「営農型太陽光発電について」