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土地・規制

林地開発許可と盛土規制法 — 森林・傾斜地に太陽光や蓄電所を計画するときの確認事項

森林での太陽光発電所・系統用蓄電池の開発で必要になる林地開発許可(太陽光は0.5ha超、その他は1ha超)、2026年4月1日施行の改正森林法(許可条件違反への罰則)、40ha以上の大規模太陽光に対する残置森林率おおむね60%以上の新基準、盛土規制法(2023年5月26日施行)の仕組みを林野庁・国土交通省の資料で解説。

最終更新 ・ 公開 ・ 執筆 Japan ELC 編集部(Life ID株式会社) ・ 約4分

この記事の要点

  • 地域森林計画の対象となる民有林(保安林などを除く)での開発は、一定規模を超えると森林法第10条の2に基づく都道府県知事の許可(林地開発許可)が必要です。
  • 太陽光発電設備の設置を目的とする開発行為は、2023年4月1日以降、0.5haを超えると許可が必要です(その他の開発行為は1ha超)。
  • 2026年4月1日施行の改正森林法で、許可条件への違反に罰則(3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金)が設けられ、中止・復旧命令に従わない者を公表できるようになりました。
  • 森林面積40ha以上の太陽光開発では、残置森林率おおむね60%以上、1か所あたりおおむね20ha以下とする基準が2026年3月に示されました。
  • 盛土規制法(2023年5月26日施行)は、土地の用途にかかわらず、規制区域内の一定規模の盛土・切土・土石の堆積を許可や届出の対象にしています。

山林や傾斜地は、農地に比べて取得しやすく、まとまった面積を確保しやすいことから、太陽光発電所の候補地になってきました。一方で、森林の伐採や大規模な造成は、土砂災害や景観、水源への影響が懸念され、規制が段階的に強化されています。

この記事では、森林や傾斜地で発電所・蓄電所を計画するときに確認すべき、林地開発許可制度と盛土規制法を整理します。

林地開発許可制度

対象となる森林

林地開発許可の対象は、森林法第5条に基づいて都道府県知事が立てる地域森林計画の対象民有林です。保安林、保安施設地区、海岸保全区域内の森林は除かれます(保安林は別の制度で、伐採や土地の形質変更に都道府県知事の許可などが必要です)。

許可が必要になる規模

林野庁によると、次の面積を超える開発行為には、森林法第10条の2に基づく都道府県知事の許可が必要です。

開発行為の目的 許可が必要になる面積
太陽光発電設備の設置(2023年4月1日以降の開発行為に適用) 0.5ha超
専ら道路の新設・改築 1ha超(かつ一定の幅員)
上記以外(系統用蓄電池、その他の施設など) 1ha超

太陽光発電設備については、2023年4月1日以降、それまでの1ha超から0.5ha超に対象が拡大されています。

2026年4月からの規律強化

林野庁は、一部の大規模太陽光発電事業が社会問題化していることを受け、2025年12月に関係閣僚会議で決定された「大規模太陽光発電事業(メガソーラー)に関する対策パッケージ」をふまえて、次の見直しを行っています。

森林法の改正(2026年4月1日施行)

  • 林地開発許可の際に付される条件への違反に対する罰則を新設(3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金)
  • 開発行為の中止・復旧命令に従わない者を、都道府県知事が公表できる仕組みを新設

許可基準に関する技術的助言(2026年3月)

  • 太陽光発電設備の設置を目的とし、開発行為に係る森林面積が40ha以上の場合は、残置森林率をおおむね60%以上とする
  • 開発行為に係る1か所あたりの面積をおおむね20ha以下とし、事業区域内に複数造成する場合は、パネル区域を概ね均等に分散して配置する
  • 都道府県知事が関係市町村長の意見を聴く際、市町村長は必要に応じて開発行為の影響を受ける者の意見を聴取する
  • 許可後に長期間着手しない案件や、開発行為が完了しない案件への対応

これらの技術的助言は、各都道府県が定める許可基準の改正を通じて審査に反映されます。候補地の都道府県の最新の基準を確認してください。

盛土規制法

概要

宅地造成及び特定盛土等規制法(通称「盛土規制法」)は、2022年5月27日に公布され、2023年5月26日に施行されました。盛土などによる災害から人命を守るため、土地の用途や目的にかかわらず、危険な盛土等を全国一律の基準で包括的に規制する法律で、国土交通省と農林水産省が所管しています。

仕組み

  • 都道府県知事などが、宅地、農地、森林など土地の用途にかかわらず、盛土等によって人家などに被害を及ぼし得る区域を「規制区域」として指定します。
  • 規制区域内で行う一定規模以上の盛土、切土、土石の一時的な堆積は、許可や届出の対象になります。農地や森林の造成も対象です。
  • 盛土等を行う場所の地形・地質などに応じた許可基準があり、工事中・完了時の検査などで安全対策が確認されます。
  • 無許可の行為や命令違反に対する罰則は、以前の条例による罰則の上限より高い水準に強化されています。

発電所や蓄電所の造成で盛土・切土を行う場合は、候補地が規制区域に入っているか、計画する盛土・切土の規模が許可や届出の対象になるかを、都道府県などの担当窓口で確認します。

森林・傾斜地の候補地で確認すること

項目 確認内容
森林の区分 地域森林計画の対象民有林か、保安林か、国有林か
開発面積 太陽光は0.5ha超、その他は1ha超で林地開発許可が必要
大規模開発の基準 森林面積40ha以上の太陽光は残置森林率おおむね60%以上など
盛土・切土 盛土規制法の規制区域か、許可・届出の対象規模か
土砂災害のリスク 土砂災害警戒区域・特別警戒区域などの指定(ハザードマップで見る立地リスク)
地形 傾斜、方位、造成量。急傾斜ほど造成と防災の費用が増える
自治体の条例 太陽光発電設備の設置規制条例、景観条例、水源保護条例など

Japan ELCでの確認方法

Japan ELCでは、地形を立体表示する3D表示と陰影起伏、航空写真で、候補地の傾斜や森林の状況を確認できます。ハザードのレイヤーでは、土砂災害警戒区域(土石流・急傾斜地・地すべり)や洪水浸水想定区域を重ねられます。変電所の公表空容量や送電線と同じ地図で見られるため、「系統には近いが急傾斜で土砂災害警戒区域にかかる」といった候補を早い段階で見分けられます。

保安林や地域森林計画の対象森林、盛土規制法の規制区域は現在Japan ELCでは表示していないため、都道府県の公表資料で確認してください。

よくある質問

林地開発許可は何ヘクタールから必要ですか?

地域森林計画の対象民有林(保安林などを除く)で、太陽光発電設備の設置を目的とする開発行為は0.5ha超、それ以外の開発行為は1ha超で、都道府県知事の許可が必要です。太陽光の0.5ha基準は2023年4月1日以降の開発行為に適用されています。

2026年に林地開発許可制度はどう変わりましたか?

2026年4月1日施行の改正森林法で、許可条件への違反に対する罰則(3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金)が新設され、中止・復旧命令に従わない者を都道府県知事が公表できるようになりました。また2026年3月の技術的助言で、森林面積40ha以上の太陽光開発では残置森林率をおおむね60%以上とするなどの基準が示されました。

盛土規制法はいつから施行されていますか?

2023年5月26日から施行されています。土地の用途にかかわらず、都道府県知事などが指定する規制区域内で行う一定規模の盛土・切土・土石の堆積が、許可や届出の対象になります。

出典・参考資料